せきずい損傷とは
【せきずい損傷とは】
人間の体を支える脊柱(背骨)は脊椎という骨の集まりで出来ていて、お尻から頭まで連なっています。その脊柱の中心部には脊髄神経という中枢神経の束が収められていて、脳からの指令を全身に伝えています。
脊髄損傷とは主に事故などで脊椎に強い力がかかることで脊椎が破壊(骨折の状態)されたり、病気などによって脊髄に損傷を受けることをさします。
【せきずい損傷になってしまうと】
・麻痺症状が出てしまう
中枢神経の役割は脳からの指令を各機能へ伝えること、各機能からの知覚情報を脳へ伝えることです。現代の医学では、一度傷ついてしまった中枢神経はもとには戻らないといわれています。そのため傷ついてしまった部分より先の全ての機能と脳との信号伝達が閉ざされてしまいます。これが動かせず、感じないという麻痺症状で、こうなってしまうと車椅子を使った生活を余儀なくされてしまいます。麻痺の範囲が広いほど動かせる部分が少なく、場合によっては寝たきりになってしまう事もあります。
・体温調節機能が失われてしまう
麻痺が出てしまっている部分は自律神経による支配にも影響が出てしまうため、汗をかいたり、血管を収縮・拡張させるといった調節機能が失われ、体温調節が大変難しくなります。
・排便・排尿障害が出てしまう
脊髄損傷者の多くは神経因性膀胱をかかえ、膀胱、尿道(括約筋)を支配している神経の経路および中枢のどこかが障害され、排尿がスムーズにできない状態にあります。これによって蓄尿・排尿障害が生じ、カテーテルなどを使い強制的に尿を体外に出す導尿を必要としたり、失禁のためおむつを使ったりする必要があります。
同様に肛門の括約筋もコントロールする事が出来ず、座薬や下剤によって排便時間をコントロールしなければならない人もいます。場合によっては肛門内部へ指を挿入し便を摘出する摘便を行う必要のある人もいます。
【せきずい損傷への再生医療応用に対するRe-SCIの考え方】
近年「多機能性幹細胞(ES細胞・iPS細胞)」の新しい可能性を示唆する研究成果や新発見がよくとり立たされています。5年後あるいは10年後には人への応用も夢ではないと期待を持たせるような情報もよく耳にします。そこで、再生医療の進歩を飛行機技術の進歩の歴史と照らし合わせてみると、初の有人動力飛行に成功したライト兄弟のフライトからおよそ16年後に初の旅客輸送事業が始まり、2度の世界大戦で世界中が大金を注いで競い合うように技術が磨かれ、ようやく大衆化するのはライト兄弟の成功からおよそ60年後の1960年代に入ってからのことです。研究段階で人への臨床すら始まっていない再生医療は、まだ初の有人動力飛行成功のライト兄弟にすら並んでいないことになると言ってもいいでしょう。つまり誰もが当たり前のように再生医療が受けられるようになるまでにはさらに時間がかかると考えておかなければならないでしょう。 いつか迎えるかもしれない再生医療の恩恵にあやかる時、2次障害に侵され既に動かすことのできない体になってしまわない為にも長期的に麻痺部分も含めた全身運動によって身体機能を維持していくことが今私たちに出来る最善のことと考えます。
せきずい損傷の情報
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