設立趣旨
国内の脊髄損傷者の数は10万人ともいわれており、残念ながら年間5000人のペースで増加しています。脊髄損傷は治らないという定説を覆し脊髄損傷を回復させるため、リハビリテーション工学・再生医療・ロボット工学など様々な分野で脊髄損傷の回復につながる研究が行われています。科学の進歩と共に、脊髄損傷の回復はそう遠くない未来に常識となっていくでしょう。しかしながら、日本における脊髄損傷の回復に対する臨床応用は、まだまだ先が見えない状況にあります。
その中で『KNOW NO LIMIT(限界はない)』を信念に、脊髄損傷の回復に不可欠なトレーニングメソッドを日本に持ち込んだ渡辺淳という一人のトレーナーがいました。彼は、日本で唯一の脊髄損傷者の回復を目的としたトレーニングジムは設立し、多くの脊髄損傷者を回復させてきました。そして、29年という短い人生を、多くの脊髄損傷者が社会に出て活躍できる日本を作ろうという夢に向かって走り切りました。彼が志半ばで成し遂げることが出来なかった脊髄損傷者が社会に出て活躍できる日本を作るため、彼のバトンを引き継ぎ、この"KNOW NO LIMIT 基金"を設立致します。
社団法人国際せきずい損傷リハビリテーション協会
理事長 伊佐拓哲
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渡辺淳TEDxSeeds講演会
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渡辺淳ストーリー
始めまして。国際せきずい損傷リハビリテーション協会理事長伊佐拓哲(イサタクノリ)と申します。
この度は、"KNOW NO LIMIT 基金"について興味を持っていただき、ありがとうございます。
僕の親友である渡辺淳が、2010年11月、この世を去りました。彼と脊髄損傷者の輝ける未来を想像し、夢を語り合った僕が、志し半ば29歳という若さでこの世を去った彼の遺志を継ぎ、このような基金を立ち上げようと決心したストーリーに、少しお付き合いください。
渡辺淳は、僕の中学・高校時代からの親友です。 彼は先天性の脊髄疾患を持ち中学時代に歩行困難となり、将来車椅子生活を宣告されていました。力士になることを夢見ていた彼は、その夢を諦め、過酷な減量とリハビリを続けました。しかし症状が良くなってもその過酷なリハビリを休めば再び足がしびれ、感覚が麻痺しました。あらゆる医療に見放された彼が出した結論は、体がボロボロになってもコンディショニングの為の運動は欠かしてはいけないということでした。過酷で孤独なリハビリを休むことなく続けた彼は、高校へ進んだ頃には、相撲部の過酷な稽古にも耐えられるほど回復していました。そんな彼に魅かれ、僕も相撲部として共に3年間汗を流しました。卒業後、彼は教師として子供たちに相撲を教えたいと願いアメリカの教育学部へ留学し、僕は日本の大学へ進み、それぞれの夢に向かって歩んでいました。
二十歳のとき、僕は事故で脊髄を損傷、一命は取り留めたものの、胸から下が全く動かない体で一生車椅子と宣告されました。手術後のリハビリは過酷そのもので絶望に打ちひしがれる時もありました。
そんな中、彼はアメリカから何度も足を運び僕を励ましてくれました。親友からのエールは心強く、1年半に及ぶリハビリを乗り越え社会復帰を果たすことが出来ました。ただし、それはもとの姿ではなく車椅子を使った生活でした。
僕は何をするにも不自由なこの体を少しでも良くしたいと願い、トレーニング環境を探しました。しかしそこで目の当りにしたのは、日本のトレーニング環境では、良くすることはおろか、維持することさえ難しいという現実でした。
途方に暮れていたある日、アメリカに脊髄損傷者を専門に受け入れるトレーニングジムがあることを知り、詳しく調べてみるとその所在地は彼が留学しているサンディエゴでした。運命を感じざるを得ませんでした。彼は二つ返事で通訳を引き受けてくれ、僕は気がつけば渡米していました。
そのジムでは、自分と同じ脊髄損傷者が健常者でも根をあげるようなハードなトレーニングに励んでいました。僕は大変感動しましたが、もっと深く感動していたのは彼でした。彼は、中学時代からその日まで、運動をすることで体を維持してきましたが、時には自己流の無理な運動によって体を壊したりしていました。しかし、そのジムは全てのメニューが理論により組み立てられていました。その時彼は、その技術でしか僕を治す方法は無いと感じたと話してくれました。
教育学部を卒業間近だった彼は、すぐに体育学部に編入、さらに、就職先をそのジムに変え、見事に外国人初として入社してわずかな期間でトップトレーナーへと駆け上がりました。彼は、僕を治したい一心で手にしたその技術を、日本で使いたいと次第に考えるようになりました。
彼は日本出店を目標に寝る間も惜しんで技術を磨き、外国人として外国の店舗を出店するために突き付けられた多くのハードルを越え、見事に凱旋帰国を果たし、J-Workout株式会社を設立しました。
設立当初は、一生治らないと言われていた脊髄損傷を歩かせることに、医療界からの相当なプレッシャーを受け、脊髄損傷者本人たちですら眉つば的に見つめる人も少なくありませんでした。日本人を相手にトレーニングを実施する難しさ、専門的知識と高い運動センスが求められるトレーナーの人材確保など様々な逆境にさらされながら、一つ一つ乗り越えるたびに彼が僕に言うことは、いつも『これでお前が一生トレーニングに困らない環境に1歩近づいた』ということでした。何歩近づいたか分からないくらい多くの逆境を乗り越えると、次第に彼の技術は受け入れられ多くの人に必要とされる施設になっていました。
"KNOW NO LIMIT"を信念に挑戦を諦めない彼は、先天性の脊髄疾患や受傷後17年という超慢性期の脊髄損傷者の回復も見事に成し遂げ、さらなる挑戦へ走り続けていました。
ところがそんな矢先、"KNOW NO LIMIT"の信念を初挑戦のマラソンを完走することで伝えたいと出場したマラソン大会の途中で倒れ、突然帰らぬ人となってしまいました。恩返しも出来ぬまま彼は遠くに行ってしまったのです。知らせを聞いて、多くの人が涙を流し、その死を悼みました。葬儀の中、僕は彼がこんなに多くもの人に夢や希望を与えてきたのだと改めて痛感しました。
死ぬその瞬間まで走り続けた彼に対して僕ができる恩返しは、彼と語り合い、彼が思い描いた夢を引き継ぐことだと確信しています。脊髄損傷者の希望の灯として彼が完成を夢見た未来を、皆さんのお力もお借りして実現させたいと思います。そしてこのストーリーをハッピーエンドに変えていきたいと思っています。
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基金概要
基金名 | KNOW NO LIMIT 基金 |
基金の目的 | 脊髄損傷者の社会復帰を支援する |
対象者 | 脊髄損傷者および脊髄損傷者を支援する個人・団体 |
基金の使途 | 脊髄損傷者の長期トレーニングはリハビリと大きく区別され、社会保障が適応されず、その費用負担が当事者に重くのしかかっています。また、脊髄損傷者の回復を支える専門家の数はまだまだ少なく、再現性を追求したトレーニング技術の研究により、効率の良い人材育成が可能となり、脊髄損傷者が当たり前のようにトレーニングを受けられる社会を作ることが出来ると考えます。基金は、このような現状の改善のため立ち上げたRe-SCIプロジェクトに使用致します。 Re-SCIプロジェクトの主なテーマ ・脊髄損傷者の社会復帰支援 ・保険期間の延長・医療保険の適応を目指す活動 ・トレーニングメソッドの確立のための研究 ・脊髄損傷回復スペシャリスト人材育成 |
目標金額 | 500万円(初年度) |
活動報告 | 年に1回5月に弊協会ウェブサイト(http://www.re-sci.or.jp)でご報告 |
支援の方法 | 【郵便局からお振替】 口座番号 00150-3-763535 口座名義 国際せきずい損傷リハビリテーション協会 【他行等からお振込】 銀行・支店名 ゆうちょ銀行 〇一九店 口座番号 当座 0763535 口座名義 国際せきずい損傷リハビリテーション協会 【クレジットカード支払い】 システム準備中 |
設立日 | 2011年4月1日 |
主催 | 社団法人国際せきずい損傷リハビリテーション協会 |
問い合わせ先 | (社)国際せきずい損傷リハビリテーション協会 伊佐拓哲 TEL: 03-5560-9903、080-3698-7349 Mail: isa@re-sci.or.jp |
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寄付について
郵便局からお振替
口座番号 | 00150-3-763535 |
口座名義 | 国際せきずい損傷リハビリテーション協会 |
他行等からお振込
銀行・支店名 | ゆうちょ銀行 〇一九店 |
口座番号 | 当座 0763535 |
口座名義 | 国際せきずい損傷リハビリテーション協会 |
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