補装具費の支給制度
脊髄損傷となり歩く事が出来なくなった場合、日常生活を送る上でも、働く上でも車いすが必要となります。以後、日常生活の多くの時間は車いすを使用して過ごす事となる為、車いすは活動しやすいよう体に合ったものを作る必要があります。
そこで、車いすを作る上で活用できる制度として、「補装具費の支給制度」というものがあります。これは、補装具の購入または修理に必要な費用を一定額(公費負担額という)を支給する制度です。
補装具とは、体に障害がある方が、失われた身体の一部または全ての機能を補うもので、使用する方の障害に応じ作られたものです。足を切断した人が使う義足や、補聴器などがあり、車いすも補装具に含まれ支給制度に該当します。また、一口に車いすと言っても、背もたれやタイヤなどそれぞれが補装具の一部であり、障害の状態に合わせて必要なものを組み合わせて作るので、さまざまな種類があり支給される額は失った機能により変わってきます。
車いすの購入には、下記の支給制度を利用する事が出来ます。また、購入時だけでなく、故障した際の修理や消耗品の交換などに必要な費用も支給してもらえるので、よくご確認のうえ、有効に活用してください。修理や消耗品の交換に対して回数の制限はないので、こまめに修理する事で快適により長く使う事が出来ます。
なお、病院により申請の仕方などに多少の違いがあるので、入院中の方は病院内の医療ソーシャルワーカーの方によくご確認下さい。また、車いす屋さんでも、福祉制度に詳しくない方や経験が浅い方もいらっしゃいます。慣れている車いす屋さんの方がより快適な車いすを手に入れる事ができるのでよくご確認下さい。
障害者自立支援法に基づく補装具費の支給制度
【対象者】
身体障害者手帳を交付され、日常生活を送る上で車いすが必要、又は使用中の車いすの修理が必要であると認められた方
【申請先】
お住まいの市区町村役場の障害福祉担当窓口
【申請に必要なもの】
・ 身体障害者手帳
・ 車いす屋さんによる見積書
・ 補装具費交付(修理)申請書
担当窓口にて受け取れます。申請時に窓口ですぐ書ける内容のものです。
・ 医師の意見書
補装具費の申請にかかわる意見書を書ける医師によるもの
(身体障害者福祉法第15条に定められた医師、または障害者自立支援法第59条に基づく厚生医療を主として担当する医師)
意見書を書ける医師は、担当窓口にて確認できます。なお、意見書は担当窓口で受け取るか、病院で用意している場合もあるのでご確認ください。
※自治体によっては、申請書や意見書を自治体のホームページからダウンロードする事もできます。
【購入申請の流れ】
- お住まいの市区町村役場の担当窓口に車いすを作りたい事を伝え、申請書や意見書をもらいます。
※電話でも可能です。申請書や意見書は郵送してもらえます。 - 医師に意見書を書いてもらいます。
- 車いす屋さんに見積もりを作ってもらいます。
- 身体障害者手帳、意見書、見積書を揃えて、担当窓口に申請します。
- 障害の状態によりどの程度の車いすが必要か判定を受けます。
※決められた場所へ行く必要があります。 - 支給認定の通知が届いたら、業者に製作を依頼します。
- 完成後、体に合っているかもう一度判定を受けた後、納車となります。
- 納車後、役所に対し、製作にかかった費用を請求します。自分で請求するか、業者の方に請求してもらうか選択できます。
※製作前と納車前の判定は自治体により行わないところもあります。
※意見書を書ける医師といっても、中には車いすの製作に詳しくない医師もいます。先に車いす屋さんに体に合わせた車いすの見積もりを作ってもらい、その内容に合わせて意見書を書いてもらう事もできます。より体に合う車いすを作る為に医師や業者の方によく相談しましょう。
【修理申請の流れ】
- お住まいの市区町村役場の担当窓口に車いすを修理したい事を伝え、申請書をもらいます。
※電話でも可能です。申請書は郵送してもらえます。 - 車いす製作業者に見積もりを作ってもらいます。
- 身体障害者手帳、見積書を揃えて担当窓口に申請します。
- 支給認定の通知が届いたら、業者に修理を依頼します。
- 修理終了後、役所に対し、修理にかかった費用を請求します。自分で請求するか、業者の方に請求してもらうか選択できます。
※修理の時の意見書と判定は、背もたれや車幅の変更など、車いすの構造が大きく変わるような場合の時などに必要なこともあります。
【購入または修理にかかる費用】
補装具の公費負担額は、メーカー、地域、世帯状況にかかわらず全国一律で決められており、その額に対して原則1割は申請者本人の負担になります。ただし、下記の方は1割負担がありません。
また、原則1割負担ですが、負担が重くならないよう、ひと月の負担上限額は37,200円に定められておりこれ以上の負担はありません。ただし、世帯の中に市区町村民税所得割額が46万以上の方がいる場合は、公費負担の対象外となり全額自己負担になります。
なお、自分の好みにカスタマイズし、公費負担額を超えた場合は、超えた額については全額自己負担になります。
※1割負担のない方
・生活保護世帯
・市区町村民税非課税世帯
※補装具費の支給制度内における「世帯」とは、障害者本人とその配偶者に限られます。両親などと同居していてもその方達の所得は関係ありません。
【注意する点】
同じ制度を利用し次に作れるのは6年後以降になります。ただし、故障した時の修理や、タイヤなど消耗品の交換の費用も支給対象になるので、車いす屋さんに相談し申請するようにしましょう。なお、障害の状態が変わった、体型が変わったなど体に合わなくなった特別な理由がある場合は6年経たなくても新しく作れる場合もありますのでご確認下さい。
同じ制度で作れる車いすは原則1人1台ですが、外出時や仕事をする上で特別な車いすが必要など、理由によってはもう1台作れる事もあるのでよくご確認ください。
子供の場合は、医師の判定は必要ありません。また、子供は成長するので、6年経たなくても新しく作ることができます。
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労働者災害補償保険法に基づく義肢等補装具の支給制度
【対象者】
仕事中の災害、又は通勤中の災害により障害が残った方
【申請先】
勤めていた事業所の所在地を管轄する労働局・労災補償課
※どこに引っ越しても申請する労働局は変わりません。
【購入申請の流れ】
- 「義肢等補装具購入・修理費用支給申請書」を該当する労働局・労災補償課に提出します。
・申請書は窓口で受け取るか、郵送してもらう事もできます。
・申請は郵送でも可能です。 - 支給を認められた後、「義肢等補装具購入・修理費用支給承認書」という書類が届いたら車いす屋さんに製作の依頼をします。
- 初めて車いすを作る方は、障害の状態によりどのような車いすが必要か医師による指導を受けます。(採型指導という)
・採型指導は労働局が指定した医療機関の医師が行います。指定医療機関であればお住まいの近くで選ぶ事ができます。
・採型結果に基づき車いす屋さんに製作を依頼します。 - 完成後、労働局に対し製作にかかった費用を請求します。自分で請求するか、業者の方に請求してもらうか選択できます。
【修理申請の流れ】
- 「義肢等補装具購入・修理費用支給申請書」を該当する労働局・労災補償課に提出します。
・申請書は窓口で受け取るか、郵送してもらう事もできます。
・申請は郵送でも可能です。 - 支給を認められた後、「義肢等補装具購入・修理費用支給承認書」という書類が届いたら車いす屋さんに修理の依頼をします。
- 修理後、労働局に対し修理にかかった費用を請求します。自分で請求するか、業者の方に請求してもらうか選択できます。
【購入または修理にかかる費用】
障害者自立支援法と同じく、公費負担の額が定められています(項目に違いはありますが、金額は自立支援法と一緒です)。なお、自分の好みにカスタマイズし、公費負担額を超えた場合は、超えた額については全額自己負担になります。
車いすを作る上で、採型の為の旅費(鉄道運賃と8,700円の範囲内における宿泊費)が支給されます。
※障害者自立支援法と違い、1割負担や所得による公費負担の対象外になるといったような制度はありません。
【注意する点】
同じ制度を利用し次に作れるのは6年後以降になります。ただし、故障した時の修理や、タイヤなど消耗品の交換の費用も支給対象になるので、車いす屋さんに相談し申請するようにしましょう。なお、障害の状態が変わった、体型が変わったなど体に合わなくなった特別な理由がある場合は6年経たなくても新しく作れる場合もありますのでご確認下さい。
1度採型指導を受ければ、その後、障害の状態に変化もなく以前に作ったものと同程度の車いすを作るのであれば再び採型指導を受ける必要はありません。なお、同じ制度で作れる車いすは1人1台です。
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NASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)の介護給付制度
【対象者】
介護料受給資格の認定を受けた方
【申請の流れ】
製作前にNASVAに連絡し、より効率の良い請求方法を確認し製作しましょう。請求方法により、支給される介護料に違いがでます。
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知っておくと便利な用語
車いすの購入や修理の際、今後同じような境遇の人と話しをする上で、知っておくとよりスムーズに話しが出来る言葉があるのでいくつか紹介したいと思います。
【福祉制度を利用した車いすの製作・修理可能】
車いす屋さんのホームページなどに書いてある事があります。福祉制度とは上記に上げた制度の事で、それらを利用した製作または修理に対応可能という事です。
【自腹?労災?手帳?】
車いす屋さんに製作や修理の依頼をした時などに、どの制度を利用して作るのか確認するのに聞かれたりします。
自腹:支給制度を使わず全額自己負担で購入または修理
労災:労災保険の支給制度を利用して購入または修理
手帳:身体障害者自立支援法の支給制度を利用して購入または修理
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